創業したばかりの企業や、ベンチャー企業が受けられる支援にはどんなものがある?
はじめに
事業をスタートしたいと考えた時、すでに潤沢な資金やリソースに恵まれているという人はごく少数で、実際は多くの人がさまざまな支援を利用しながら創業しています。助成金や補助金など資金面の援助のほか、企業の経営や税金の知識、相談窓口など創業・ベンチャー企業が受けられる支援についてご紹介します。
▼目次
企業を創業する時には各種支援が受けられる
ただ「創業したい」や「こんな技術・商品を売ってみたい」など、思っているだけでは前に進みません。しかしほとんどの人が創業・起業するにあたり、「何からはじめたらいいのか見当もつかない」という方も多いのではないでしょうか。
まずは経営の基礎知識をしっかり学んだうえで、さらに自分の起業・創業アイディアを実現するために何をすべきなのかを見つけることがファーストステップです。創業セミナーや、企業経営の専門家に相談できる窓口など、国、都道府県、商工会議所など公的機関も各種の支援をしています。今回は、どんな支援・サポート事業があるのかをご紹介します。
企業を創業する時に受けられるさまざまな支援・サポート
1.創業までの基礎的知識支援
「まずは起業の基礎知識を得てから起業について真剣に考えてみたい」という人のために創業セミナーや講座が多数開催されています。ここで紹介するもののほかにも、都道府県や市町村が開催していることもあります。受講生同士の交流や横のつながりができることもありますし、創業セミナーや創業塾の修了を条件として、優遇措置が受けられる市町村もありますので、すでに経営の知識があるといった方も復習のつもりで受けてみることをおすすめします。
2.創業・ベンチャー国民フォーラム
創業・ベンチャー企業を生み出す国民意識の醸成と風土づくりのため、起業経験者や有識者等で構成された組織です。全国でシンポジウムを開催するなど、創業・起業の普及や啓発活動を行っています。
問い合わせ先:中小企業庁創業連携推進課
3.創業セミナー
創業したいという人を対象に、創業に向けた取組みをおこなうにあたって必要な基礎的知識の修得を支援しています。
問い合わせ先:各都道府県等中小企業支援センター
4.創業塾
事業計画(ビジネスプラン)の完成、創業に必要な実践能力の修得を支援するため、10日間(30時間)程度の短期集中研修(創業塾)を開催しています。
問い合わせ先:全国商工会連合会:「http://www.shokokai.or.jp/」、日本商工会議所:「http://www.jcci.or.jp/」
5.創業支援研修
全国9カ所の中小企業総合事業団中小企業大学校では、実際の創業に必要な実務知識、ビジネスプランの作成方法等についての研修を行っています。
問い合わせ先:中小企業総合事業団中小企業大学校:「http://www.smrj.go.jp/institute/」
6.創業スクール
「信用保証」を通じて中小企業の資金調達をサポートしている信用保証協会も各地で創業スクールを開催しています。信用保証協会は47都道府県と4市(横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市)にあり、各地域に密着した業務をおこなっています。開業したい地域での受講が必要となりますので、開講スケジュールならびに開催場所は、該当地域の信用保証協会のHPなどで確認してください。
創業スクールといっても、どの創業スクールを選ぶかによって違いがあります。
例1:東京信用保証協会の創業スクール
具体的なビジネスプランのある人を対象とし、20名程度のゼミナール形式で行うスクールです。ディスカッションを交えながら、“人に見せて語れる”創業計画書の作成を目指します。保証協会職員による実践的なアドバイスもあり、創業時に資金調達を考えている方にとって役に立つ内容が多く含まれています。
修了特典1.東京都制度融資「創業・創業支援特例」対象(金利0.4%優遇)2.都振興公社「創業助成事業」申請対象(※1、2は証明を受けた場合)
例2:千葉県信用保証協会の創業スクール
中小企業診断士が講師となり、創業のノウハウの習得を目指す創業スクールを開催しています。こちらの創業スクールでは、4週にわたってビジネスプランを作成、最終日には県内社長からの講演やビジネスプランの発表会を行います。
修了特典として
1)共催市町村での会社設立時の登録免許税が半額になる。
2)創業関連保証枠の拡充を受けられる(別途審査あり)。
3)創業補助金の申請が可能になる。
問い合わせ先:全国信用保証協会連合会:「http://www.zenshinhoren.or.jp/index.html」
創業する人が相談できる場
企業経営の課題や各種補助金についてのアドバイス、弁護士、会計士、技術士、コンサルタントなど専門家の紹介、ビジネスマッチング、女性やシニアの創業支援など、創業するにあたって出会う数々の疑問を相談できる場も多くあります。
1.中小企業庁
現在事業活動を行っている中小企業、これから事業を起こそうと思っている人々を、さまざまな角度から支援する中小企業庁では、各種の相談窓口・専門家の派遣・情報の提供、ビジネスアイディアの支援や講習会などを開催しています。
・中小企業・ベンチャー総合支援センター(全国8ヶ所)
株式公開を視野に入れたベンチャー企業の支援や特許権の取得を絡めた経営戦略、海外進出など高度な経営課題への支援などを実施しています。
・都道府県等中小企業支援センター(都道府県、政令市ごとに57ヶ所)
弁護士などの専門家や経験豊富な企業経営の経験のある方が企業の設立準備に関する問題や経営向上のための相談を受け付けています。
・地域中小企業支援センター(全国261ヶ所)
会社経営の課題について相談を受け付けています。
・シニアアドバイザーセンター(全国約120ヶ所)
創業や経営革新を目指す人を対象として相談を受け付けています。
問い合わせ先:中小企業庁:「http://www.chusho.meti.go.jp/」
2.ベンチャープラザ
ベンチャープラザは、ベンチャー企業・事業者がビジネスプランを発表し、それを投資家、経営パートナー等に紹介するイベントです。
問い合わせ先:独立行政法人中小企業基盤整備機構 経営支援部 創業・ベンチャー支援課(03-5470-1574)
3.日本政策金融公庫
日本政策金融公庫の各支店でも創業に関する相談を受け付けています。またサイトでは飲食業、美容業など業種別の「開業のポイント」PDFがダウンロードできます。
・創業ホットライン
これから創業を考えている人や、創業して間もない人を対象に創業ホットライン事業資金相談ダイヤルで電話相談を受け付けています。電話受付は平日9時~19時です。
・資金貸付
すでに開業している人だけでなく、創業間もない人や女性、若者やシニアを対象にした融資制度があります。サイトで融資を申請するための書式もダウンロードできます。
新規開業資金(新企業育成貸付)は新たに事業を始める人、事業開始後おおむね7年以内の人が対象です。
女性、若者/シニア起業家支援資金(新企業育成貸付)は業開始後おおむね7年以内の女性、35歳未満か55歳以上の人が対象です。
問い合わせ先:日本政策金融公庫:「https://www.jfc.go.jp/」
4.よろず支援拠点
日本各地にある「よろず支援拠点」は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が全国に設置する経営相談所で、中小企業・小規模事業者の売上拡大、経営改善など、経営上のあらゆる悩みの相談に対応しています。また相談無料でチーフコーディネーターを中心とする専門スタッフが適切な解決方法を提案します。
問い合わせ先:よろず支援拠点一覧:「http://www.smrj.go.jp/yorozu/087939.html」
5.J-Net21
中小企業基盤整備機構が運営する、中小企業のためのポータルサイトです。公的機関の支援に関する情報を中心に、経営に関するQ&Aや数多くの起業事例などを発信しています。創業や経営上の問題点について任意に分類・編集した12のカテゴリを選択しながら必要な情報が入手できます。
問い合わせ先:「http://j-net21.smrj.go.jp/index.html」
支援を適切に活用し、創業に役立てよう
これまで紹介してきたように企業の創業・起業に関するさまざまな支援がありますが、利用しなければメリットを受けることはできません。第三者である専門家に相談することで新たに気付くことも多くあります。ぜひ積極的に活用し企業の創業・起業に役立てましょう。