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パートナーシップ構築宣言とはなにか?概要や発注者側のメリットを解説

2020年6月から取り組みが開始されたパートナーシップ構築宣言は、小規模の企業が大企業と安定した取引をすることを目的としています。
そのため、中小企業にメリットのある取り組みと感じる方も多いかもしれません。

しかし、これは発注者としての大企業にとっても多くのメリットがある取り組みなのです。

そこで本記事では、パートナーシップ構築宣言の概要や発注者側のメリット、登録手順や注意点について解説していきます。

 

この記事はこんな方におすすめです

  • パートナーシップ構築宣言について知りたい方
  • パートナーシップ構築宣言のメリットを知りたい方
  • パートナーシップ構築宣言の登録手順を知りたい方

 

 

株式会社ビジョン
株式会社ビジョン

ビジョングループお客様サポートサイト編集部

グローバルWiFi事業、法人向け情報通信サービス事業、グランピング事業等の企業における 事業の推進や、法人・個人の課題解決に役立つサービスを提供している株式会社ビジョンが 運営する「ビジョングループお客様サポートサイト」の編集部です。

 

 

 

パートナーシップ構築宣言の概要

パートナーシップ構築宣言とは企業規模に関係なく取引先とのパートナーシップを強化することを目的とした制度のことです。

これは、2020年5月に「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」によって導入されました。

会議のメンバーには、関係閣僚(内閣府、経産省、厚労省、農水省、国交省および内閣官房副長官など)と、経団連会長や日商会頭、連合会長が名を連ねています。
登録している企業は、2023年7月の時点で3万社を超えており、建設業、情報通信業、医療福祉業などで特に多い傾向があります。

パートナーシップ構築宣言を実現するため、「取引先との共存共栄」の取り組みと「取引条件のしわ寄せ」の防止の実施が求められています。

サプライチェーン全体の共存共栄と規模・系列を超えた新たな連携が必要であり、親事業者と下請け事業者の取り組みの見える化を行うことが重要です。

「取り組みの見える化」は正しい取引慣行を遵守していくために必要であり、その一環として、パートナーシップ構築を宣言した企業名が専用ポータルサイト上に公表されています。

 

パートナーシップ構築宣言で発注者側が期待できるメリット

パートナーシップ構築宣言には下請け企業が大企業との取引によって大きな損害を受けることを防止するという側面があります。

具体的には、企業の規模・系列を超えた連携、適正な取引価格の実現、下請代金の支払い条件の改善などです。

しかしこの宣言は、下請け企業だけではなく、発注者側の企業にも多くのメリットがあるものです。

ここでは、パートナーシップ構築宣言による企業のメリットついて詳しく解説していきます。

 

イメージアップを図れる

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パートナーシップ構築宣言をする大企業のメリットの1つに、取引先や一般消費者から「ホワイト企業」のイメージを持たれやすくなることがあります。

具体的には、「公式ポータルサイトに企業名が公表される」「名刺に宣言企業であることを示すロゴマークを入れられる」ことです。

宣言企業は、公式ポータルサイトだけではなく、中小企業のニュースリリースにも掲載されます。これも見える化の取り組みの一環です。

これにより、中小企業は公式ポータルサイトを検索して、パートナーシップ構築宣言をしている企業を探すことができるのです。


さらに、宣言企業は名刺にロゴマークを入れることができます。
これにより、取引先に対して日々の営業活動でのPRが可能となります。

実際に、宣言企業では、企業単体では解決できない社会的課題に対しての取り組みが進捗しています。

たとえば、サプライチェーン全体でのグリーン化やリサイクル、EDI(取引情報の電子データ交換)の導入、BCP策定などです。

 

SDGsの達成にも繋がる

SDGsの達成にも繋がる

SDGsとは、将来の子どもが安心して生活できる社会を作るための国際目標のことです。

2030年の達成をゴールとして、17の目標が設定されています。SDGsのキーワードは「誰ひとり取り残さないこと」です。
そのためにも、すべての人がそれぞれの立場から行動することが必要とされています。


パートナーシップ構築宣言は、SDGsの17ある目標の内、5つの目標達成に有効です。

具体的には、「目標3:すべての人に健康と福祉を」「目標8:働きがいも経済成長も」「目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう」「目標10:人や国の不平等をなくそう」「目標17:パートナーシップで目標を達成しよう」の5つに効果が期待できます。


パートナーシップ構築宣言によってSDGsの5つの目標を実現することで、お互いの違いを認めて尊重して協力するというSDGsの基本理念へとつながっていくのです。

つまり、パートナーシップ構築宣言は、大企業にとって国際社会共通の目標に取り組み、社会的責任を果たそうとしている姿勢のアピールとなります。

 

一部補助金の加点措置を受けられる

大企業がパートナーシップ構築宣言をすることで、経済産業省などが実施する一部の補助金を申請する際に、加点措置を受けられます。

補助金とは「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」「事業再構築補助金」「先進的省エネルギー投資促進支援事業」「省エネ設備導入補助金」などです。

これらの補助金の申請に加点措置を受けられるのは、非常に大きなメリットといえるでしょう。

なお、対象となる補助金は状況によって変わってくるため、随時ポータルサイトを確認する必要があります。

 

パートナーシップ構築宣言の登録手順

パートナーシップ構築宣言の登録手順

パートナーシップ構築宣言は、多くの下請け企業をもつ大企業が登録するのが一般的です。

しかし、中小企業でも下請けを使うのなら、登録しておくメリットはあります。登録に専門的な知識などは必要ありません。

ここでは、パートナーシップ構築宣言の登録手順を紹介していきます。

 

パートナーシップ構築宣言のポータルサイトから宣誓書をダウンロードする

まずは、パートナーシップ構築宣言のポータルサイトを開きましょう。

ポータルサイトを開いたら、宣言書のひな形をダウンロードします。
登録の参考にするために、記載見本や記載要領などもダウンロードしておくとよいでしょう。

 

宣誓書に入力し、ポータルサイトにアップロードする

ダウンロードしたひな形の必須項目と任意項目を記入します。
この時、自社の取り組みにあわせて、加筆したり修正したりしましょう。

なお、ひな形は随時更新されているので、最新のひな形をダウンロードしたらひな形が変わらないうちに、短期間で提出する必要があります。
必要なことを記入したら、宣言書をPDFに変換してアップロードして登録完了となります。

 

パートナーシップ構築宣言のポータルサイトに企業名が公表される

必要事項を入力した宣誓書をアップロードした後、問題がなければパートナーシップ構築宣言のポータルサイトに企業名が公表されるはずです。

同時に、全国中小企業振興機関協会運営のポータルサイト内の登録企業一覧からも、閲覧が可能となります。

ただし、公表した後に内容が履行されていなければ、振興基準に基づいて主務大臣から指導や助言が行われるので注意が必要です。

宣言の掲載が取りやめになる可能性もあります。

そのためにも、パートナーシップ構築宣言をしたなら、下請け企業との関係づくりを積極的に行っていくことが必要です。

 

パートナーシップ構築宣言に関する注意点

パートナーシップ構築宣言で注意しなければならないのは、「相互理解が必要な制度であり、十分な効果が発揮できない可能性がある」「下請け業者に対するしわ寄せ防止効果が十分に発揮されていない」「支払い条件が変更しにくい」などの問題の存在です。

それぞれ解説していきます。

 

パートナーシップ構築宣言に関する注意点

  • 相互理解が必要な制度であり、十分な効果が発揮できない可能性がある
  • 下請け業者に対するしわ寄せ防止効果が十分に発揮されていない
  • 支払い条件が変更しにくい

 

相互理解が必要な制度であり、十分な効果が発揮できない可能性がある

パートナーシップ構築宣言を有効に活用するには発注者側と下請け側の双方に「相互理解がある」という前提が必要です。
宣言の効果を実感しているのは受注者の5割程度というデータも存在しており、相互理解があって有効に活用できているケースはまだ多くないことがわかります。

宣言が十分な効果を発揮するためには、取引先などのステークホルダー(利害関係がある者)が、パートナーシップ構築宣言の内容を十分に理解していることが必要です。

また、支払い条件などは昔からの慣習や取引先からの要請など、改善が難しい側面があります。

 

下請け業者に対するしわ寄せ防止効果が十分に発揮されていない

また、下請け業者に対するしわ寄せ防止効果が十分に発揮されていないため、宣言していない同業他社を使用すれば代替えできてしまうなどの問題もあります。

これらの問題の解決のため、経済産業省は5つの取組みを実施しています。

 

しわ寄せ防止のための経済産業省の取組み

  1. 価格交渉の促進
  2. パートナーシップ構築宣言の大企業への拡大、実効性の向上
  3. 下請取引の監督強化
  4. 知財Gメンの創設と知財関連の対応強化
  5. 約束手形の2026年までの利用廃止への道筋

 

価格交渉の推進

価格交渉については、下請振興法に基づく「助言(注意喚起)」を、価格交渉・転嫁の状況のよくない個別の企業に対して実施しています。

同時に、下請振興法の振興基準を改正し、労務費上昇による価格交渉に応じるように、発注側の事業者を促しているのです。

パートナーシップ構築宣言の実効性の向上

パートナーシップ構築宣言の実効性の向上については、宣言したすべての企業と下請取引企業に対してアンケートを実施しています。

これは、コーポレートガバナンスに関するガイドラインを位置づけて、補助金などによるインセンティブの拡充を検討するのが目的です。

下請取引の監督強化

下請取引の監督強化は、下請Gメンの体制を強化することによって対応しています。

同時に、商工会・商工会議所と下請かけこみ寺を連携し、相談体制を強化する試みも実施されているのです。

知財Gメンの創設と知財関連の対応強化

また、知財Gメンを新設し、中小企業に知的取引アドバイザリーボードを設置することも試みられています。
目的は、商工会議所、INPIT(工業所有権情報・研修館)などの関係機関との連携強化です。

約束手形の2026年までの利用廃止への道筋

約束手形の利用廃止に向けては、各団体に対して自主行動計画の改定を要請しています。
具体的には、廃止に向けた具体的なロードマップの検討と、課題の洗い出しの実施です。

同時に、金融業界に対しては、2026年の手形交換所における約束手形の取扱い廃止についての可否の検討を要請しています。

 

パートナーシップ構築宣言を理解し取引先と適正な関係を築こう

パートナーシップ構築宣言を活用して取引先と適正な関係を築くためには、ただ参加するだけでなく、参加したことを自社のホームページで公表したり、名刺などに記載してアピールする必要があります。

ただし、ホームページ作成には様々な知識、ノウハウが必要です。

自社でホームページを作ることが難しければ、コストを抑えつつ高クオリティなホームページを作れる業者に依頼しましょう。

 

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