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法人口座開設の前に解決しておきたいポイントをチェック

はじめに

会社を設立するための登記手続きが完了したら、正式に事業をスタートできます。その際法人名義の口座を開設しておくと、取引が円滑にできるためおすすめです。

しかし、法人口座の開設は個人口座よりも時間がかかったり、審査に通りにくかったりします。ここでは、法人口座を開設するために知っておくべきポイントについて見ていきましょう。

▼目次

なぜ法人口座は個人口座よりも開設に時間がかかるのか?

法人口座は個人口座よりも、開設に時間がかかります。これは、法人名義の口座を悪用した投資勧誘詐欺などの犯罪が多く発生しているためです。金融犯罪を防ぐために、法人口座の開設には厳しい審査が設けられています。きちんと事業を行う会社であることが認められなければ、口座の開設を断られることもあるのです。

まず、法人口座を開設するためには最寄りの支店に行かなければいけません。そして、以下のような書類を提出して審査を受ける必要があります。

・法人の履歴事項全部証明書

・本人確認書類

・委任状(必要であれば)

・法人番号が確認できる書類

・法人の印鑑証明書

・株主名簿または出資者名簿

・法人設立届出書や青色申告承認申請書

・主たる事務所の建物登記簿謄本または主たる事務所の賃貸借契約書

これらすべての書類がどこの金融機関でも必ず必要になるというわけではありませんが、提出を求められることが多いです。上記のほかに書類が必要だと判断された場合、追加で確認書類を提示する必要もあります。正しく会社設立の手続を踏んでいる正規の会社ということを証明するために、必要な書類は忘れずに持参しましょう。

個人口座の場合は申し込んだら即日で開設できるものもあり、開設までの時間が短いのが特徴です。しかし、法人口座の場合はそうはいかず、申請から開設までに2週間程度要することも珍しくありません。

法人口座ができるまで事業を始められないという場合でも、審査に時間がかかることは避けられませんから、登記手続きが完了したあとはなるべく早い段階で法人口座を申し込みましょう。

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法人口座の開設は代理人が行えるか?

都市銀行や地方銀行など、ネット銀行以外の金融機関で法人口座を開設する際は、直接窓口に行く必要があります。法人の代表者でなくても、経理担当者など委任を受けた人であれば開設の申し込みが可能です。その場合は、委任状や担当者の本人確認書類などが必要になります。金融機関ごとに必要な書類は異なるので、事前に確認してから窓口に向かいましょう。

また、来店者が代理権を有しているかを確認する方法として、委任状提出以外の方法が取られることもあります。例えば、金融機関から事業所に電話をかけるなどで、来店者が本当に会社で経理を担当しているかを確認する方法も。金融機関によってどの方法で代理権の確認が行われるかは異なります。予めホームページなどで確認しておくのがおすすめです。

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法人口座開設時によくある不備例

法人口座開設のために提出する書類に不備があると、審査に時間がかかったり、開設を断られたりすることがあります。不備がないよう、事前に必要書類をきちんとチェックしておきましょう。法人口座開設時によくある不備例は、以下のとおりです。

1.提出書類の不備

法人口座を開設するためには、申し込む本人の公的書類による本人確認が必要です。本人確認書類がない場合には、申込みができません。また、提出必須とされている書類が不足していたり、登記簿謄本の住所や代表者の役職など、申込み内容との相違がみられたりする場合も口座開設を申し込めないので注意が必要です。

さらに、提出する書類に有効期限が定められていることがあります。例えば、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)や法人の印鑑登録証明書などは、発行日より何カ月以内のものと決められていることが多いです。有効期限は金融機関によって異なりますが、大体発行日より3カ月〜6カ月以内と定められています。有効期限を超えたものは提出書類として認められないため、期限内のものを用意しましょう。

2.実質的支配者が異なる場合

「犯罪による収益の移転防止に関する法律」によって、金融機関は口座開設を希望する法人の実質的支配者の確認が義務付けられています。実質的支配者とは、法人の事業活動に支配的な影響を持つ地位にある個人のことです。国や地方公共団体、上場企業の場合は実質的支配者の申告が不要ですが、それ以外の法人は実質的支配者を申告しなければなりません。

誰が実質的支配者に該当するかは、法人の業態によって異なります。株式会社や有限会社など資本多数決法人の場合は、直接または間接に25%を超える議決権を保有する方、いない場合は出資や融資、取引などにおいて事業活動に支配的な影響力を持つ方が実質的支配者です。

一方、合同会社や一般社団法人など、資本多数決法人以外の場合は少し異なります。事業収益や事業財産の25%を超える配当などを受ける権利を保有する方か、出資や融資、取引などにおいて事業活動に支配的な影響力を持つ方が実質的支配者です。

それぞれ該当する個人がいない場合は、代表取締役や理事など法人を代表して業務を執行する個人が実質的支配者となります。法人口座を開設する際にはこの実質的支配者を申告する必要がありますが、相違があると書類の再提出になるため注意が必要です。誰が実質的支配者となるのか、予め確認しておきましょう。

3.印影の不備

届け出た印鑑は機械で読み取られ、電磁的記録として金融機関に保存されます。印影が薄く不鮮明である、枠外への押印がある、枠線や他の印影に重なっているなどの不備がある場合は、正しく読み取れないため再提出が必要です。印鑑は枠内に鮮明に押印し、再提出とならないよう気をつけてください。

法人口座は個人口座よりも開設までに時間がかかります。開設までの時間を余計に伸ばさないためにも不備のないように書類を準備して、スムーズな口座開設を目指しましょう。

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まとめ

登記手続き後に法人口座を開設することで、社会的信用が高まったり、取引が円滑に行えたりします。
しかし、開設は容易ではありません。厳格な審査を通過することで、やっと法人口座を作ることができます。

必要な書類を容易し、内容に不備がないことを確認した上で、速やかに口座開設の申込みをしましょう。

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