法人の登記簿謄本はどんな場面で必要?取得の方法は?
はじめに
どの法人でも会社設立時に必須なのが、会社の登記です。登記が完了したら、登記簿謄本のコピーが後に閲覧、あるいは取得できるようになります。登記簿謄本(登記事項証明書)はどのようなものなのか、法人で必要になる場面と、手続きの方法を紹介します。
▼目次
登記簿謄本とは?
会社の設立、代表役員の交代など、さまざまな場面で登記簿謄本が登場しますが、いったいどんな書類なのでしょうか。実は、今現在、登記簿謄本という名称の書類はないといいます。登記簿謄本という言葉は、実は過去に紙で管理されていた時代の名残としてあるもの。
そのため、法務局で登記簿謄本をとることはできません。取得できるのは、法務局で管理されている登記簿のコピーです。俗にいう登記簿謄本は、会社などの権利を保護する公の書類としてその役割を担っています。
・登記簿謄本の種類
登記簿謄本としてひとまとめに紹介しましたが、登記簿には法人登記、商業登記、不動産登記の3種類があります。
法人登記は会社の情報に関する登記、
商業登記は商号などに関する登記、
不動産登記は土地などの不動産に関する登記です。
すべての登記が関係してくることもありますが、法人の場合設立とともに必ず必要になるのが法人登記です。
・法人登記とは
法人登記は、会社が法人として認められるための登記です。
法人登記で記載されるのは会社の商号(社名)や住所、設立年月日や設立の目的。さらに、資本金や発行可能株式数、役員についても記載されます。このように、会社の基本情報が記載されるのが法人登記です。
会社が法人登記をするのは、実在する確かな会社だという証明をするため。そもそも、会社として営業しているにもかかわらず法人登記を提出しないことは違法になります。納税などで国が会社を管理する、会社が社会的に法人として認めてもらえるという点で意味のある登記です。
・登記事項証明書とは違う?
登記簿謄本を調べていくと、登記事項証明書という名称を見かけることがあります。名前は違いますが、実は内容は同じです。登記事項証明書とは、インターネットを通して受け取った登記のデータのこと。
現在は、紙ではなくデータをやり取りしているため、登記簿謄本という名称の方が誤りで、取得する際は「登記事項証明書」を申請するのが正しいです。
法人で登記簿謄本が必要なとき
登記簿謄本とは何か、どんな種類があるのか紹介してきましたが、日常で登記簿謄本(登記事項証明書)が必要な場面は限られてきます。法人で登記簿謄本が必要になるのはどんなケースか4つのケースをみていきましょう。
・登記を変更するとき
まず、登記の内容を変更するときです。登記の変更をするケースでよく見られるのが、役員の交代。ほかには、新たに事業を展開するために、事業の目的を追加したり、発行可能株式を変更したりするために登記を変更します。
変更の際に必要になるのが、過去の登記です。手続き中は、登記を確認できないので、事前に取得して、過去のものとどこを変更するか、変更しない箇所はないように変わりないか、確認するために登記簿謄本を取得します。
・決算申告をするとき
法人の登記簿謄本の添付は決算後の確定申告で必須ではありませんが、申告にともない税理士から取得を依頼されることがあります。これは資本金や発行可能株式数などが正しいか情報を確認するためです。
これまでと同様同じ税理士に依頼している場合は都度求められることはありませんが、税理士を変更する場合、期中に登記事項の内容に変更があった場合に取得が必要になります。
・融資を受けるとき
金融機関などから融資を受ける場合、さまざまな書類の提出が求められますが、法人の登記簿謄本もそのひとつです。融資で登記簿謄本が必要になるのは、会社が申告している情報が正しいかの照らし合わせと、これまでの役員の入れ替わりなどを確認するため。この場合、データではなく紙での取得が必要です。
・補助金の申請をしたいとき
国の補助金を申請する場合も、金融機関の融資と同じように多くの書類が必要になります。登記簿謄本ももちろん必要書類に含まれるもののひとつです。このように、さまざまな場面で必要になる登記簿謄本ですが、設立時の作成が大変で、変更の都度管理するのも大変です。
こうした会社設立にともなう業務の負担を軽くするためにも、会社設立ソフトを使用するのがおすすめです。
登記簿謄本は誰でも取得できる?方法は?
ここまで、登記簿謄本は法人にとって重要な書類であることを紹介しました。さまざまな手続きに欠かせない書類ですが、実は手数料を納めれば誰でも取得できます。会社の代表者でなくても、会社の従業員、あるいは家族、会社に関係ない人にも開示されます。
それではどうやって取得するのか、手順を確認してみましょう。
・申請書に記入する
申請書に必要事項を記入していきます。記入する項目は、申請者の名前と、登記簿を取得したい法人の名前、登記簿を取得したい法人の住所、登記簿を取得したい法人の法人等番号。法人等番号は、国税庁の法人番号公表サイトから名称などを入力して取得できます。その他、押印などは必要ありません。法人の登記簿謄本が誰でも取得できるのはこのためです。
オンラインの場合は、申請用総合ソフトをダウンロードし、ソフトを利用して必要事項を入力します。
・手数料を納付する
申請書を記入したら、次に手数料の納付です。書面での登記事項証明書の取得手数料は600円、オンライン送付なら500円、オンライン窓口なら450円かかります。手数料は、オンラインと窓口で違うので注意しましょう。
・取得の方法は?
登記簿謄本は、各エリアの法務局窓口で直接取得するか、オンラインで取得するかの2つの方法があります。書面で取得したいなら直接窓口で受け取ることをおすすめします。法人の場合、融資や助成金を受ける場合は、紙の登記簿謄本が必要なので窓口での取得です。
オンラインは、自宅や職場にいても受け取れるのが特徴。特に提出が必要ない場合、たとえば登記の変更で過去分と比較したい場合、税理士に送る場合などにオンラインを活用します。
まとめ
法人の運営において、登記簿謄本(登記事項証明書)が必要になることがあります。登記簿謄本は、会社の従業員はもちろん、誰でも取得可能な書類。近ごろは取得方法も便利になり、オンラインでも取得できるようになったので、必要な状況に合わせて登記簿謄本を用意しましょう。
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