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学生起業家が選ぶべき、勝負業界の傾向3つ

はじめに

昨今、学生で起業をする方が増えてきました。2013年に世界34カ国を対象に実施された起業に関する意識調査「GUESSS 2013」では、学生で卒業5年後に起業を目指す日本人の割合が10.4%と、参加国全体平均の30.7%を大きく下回っていましたが、ここ数年ベンチャー投資が活発になっていることなどもあり、その割合は徐々にですが確実に増えてきています。

▼目次

学生起業家が増えている背景

学生起業家が増えている背景として、具体的に以下の2つが考えられます。

・ロールモデルの存在

1つ目の背景としては、学生起業家のロールモデル(=模倣・手本となる存在)が出てきたことです。例えば、アメリカでいうとFacebookを創業したマーク・ザッカーバーグやマイクロソフトを創業したビル・ゲイツのように、大学在学中に起業して成功した経営者が数多くいます。しかし、これまでの日本ではそういった存在自体となる人が少なく、起業することに対する憧れや起業家に対する尊敬も生じにくい状況でした。

ただ最近では東京大学大学院在籍中にグノシーを創業し東証マザーズ上場まで導いた福島氏や、東大発のロボットベンチャーSCHAFT(シャフト)などのように、大学在籍中に起業し、成功する若者も多く出てきており、TVや新聞等のメディアで取り上げられる機会も徐々にではありますが増えてきました。
こうした事例が増えていくにしたがって、起業家やベンチャー経営者に対する憧れから、自分でも起業してみたいと思う若者が徐々に増えていると思われます。では具体的にどのような背景があるのでしょうか。もう少し詳しくみていきたいと思います。

・大企業や大学・自治体によるベンチャー投資・支援の活発化

近年の景況感もあり、大企業等がベンチャー投資に積極的になっていることも背景の1つといえるでしょう。メガバンクや商社、通信キャリアに加え、ゲーム等を手がける会社など多種多様な会社がベンチャー投資を活発に行っています。中でも、スマートフォンでのゲームを手がけるコロプラは、投資事業を行う100%子会社コロプラネクストを設立しました。その中で学生起業家支援に特化したファンド「コロプラネクスト1号投資事業有限責任組合」を立ち上げるなど、学生起業家支援に積極的に取り組んでいます。

こうした動きは民間企業だけにとどまりません。2004年の国立大学の法人化によって国立大学にも独立した経営が求められるようになったことや、大学でも特許の所有権を持つことができるようになったことなどを背景に、東京大学をはじめ多くの大学でベンチャー投資が積極的に行われるようになりました。
また、「スタートアップ都市“ふくおか”」をかかげる福岡市のように、ベンチャー支援に積極的な自治体もかなり増えてきています。

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学生起業家が、社会人起業家に負けないもの

これまで述べてきたような、新たなロールモデルの登場や起業を支援する民間企業、大学・自治体が増えてきたことにより、学生起業は年々増えてきています。しかし社会人経験を経て起業する方と比べると、経験やノウハウ面でみたときに劣る部分が多少なりともあるということは否めません。ですが逆に学生であること・若者であることが強みとなる部分もあります。ここでは、学生起業家ならではの“強み”について考えてみましょう。

・体力がある

一番の強みは、やはり体力面での優位性かもしれません。ハードワークが良いというわけではありませんが、新しいサービスを立ち上げたり、少ない人数であらゆる業務をこなしたりするために体力は不可欠であるといえます。20代前半で学生起業をした場合、30代や40代での起業に比べると、体力面では有利であるといえるでしょう。

・新しい技術を柔軟に吸収できる

これまでの経験にこだわることなく、新しい技術やサービスを柔軟に取り入れることができるのも若者ならではのメリットではないでしょうか。特にIT・ソフトウェア業界等、技術面で変化の速い業界での起業を考えるなら、柔軟に吸収できる余裕があれば若い方がむしろ経験があるベテランよりも価値が出る可能性も十分にあります。

・失敗してもやり直せる

たとえ学生起業をし、結果失敗してしまったとしても、20代であればまだまだやり直すことができます。独身であればなおさらリスクは小さいでしょう。家族がいるとどうしても家庭を守るための生活に最低限な収入が必要となるので、大きなチャレンジに踏み出せなくなってしまう場合も多くなりますが、学生であればそのリスクをなるべく低くすることができるといえるでしょう。

・多くの人に応援してもらえる

最後に、周囲の人に応援してもらえるというのも学生起業家の特権といえるかもしれません。若いということだけで取引先から信頼をされないということも時にはあるかもしれませんが、若い人が夢を追いかけて頑張っていること自体は多くの方が応援してくれるはずです。また、学生起業家という“ある種のブランド”によって、メディア露出が増える可能性もあるでしょう。

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若い感性が活きる、学生起業に向くビジネスの特徴3つ

では、こうした学生ならではの強みが活きるビジネス領域とは、具体的にどういったものがあるのでしょうか。成功のストーリーは千差万別なため、学生起業に向いている業界やビジネスモデルなどとひとくくりにできるものではありませんが、以下に3つ、特徴となる要素をピックアップしてご紹介いたします。

1.IT・ソフトウェア業界

学生起業家が社会人起業家に負けない要素の1つとして「新しい技術を柔軟に吸収できる」と述べましたが、そのメリットが最も活かしやすいのはIT・ソフトウェア業界です。Facebookを創業したマーク・ザッカーバーグやマイクロソフトを創業したビル・ゲイツはもちろんIT・ソフトウェア業界ですし、先ほどの東大発ベンチャーなどもほぼこの領域です。

プログラミング言語の習得なども、学生であれば社会人に比べ学習の時間を確保することも可能ですし、吸収力もあるので短期間で習得することもできるかもしれません。

2.10代・20代を対象としたサービス

学生ならではの視点が活かせる10代・20代を対象としたサービスも学生起業に向いているといえます。若者のニーズは、やはり当事者である若者自身がもっとも強みを活かせる分野です。また、サービスを開始した際のユーザー獲得においても、自分たちの友人・知人にまずは使ってもらってクチコミで広げていくことも可能でしょう。

逆に、法人向けのビジネスやシニア層をターゲットとしたサービスなどは、経験豊富な社会人起業家に軍配が上がる分野かもしれません。

3.大規模な資金を必要としないビジネス

飲食店の経営のように店舗を必要とするビジネスや、アパレル業界など商品の在庫を必要とするビジネスは、事業を開始するにあたってある程度の資金を必要とします。そのため、資金力で劣りがちな学生起業に適しているとはいえないかもしれません。先述のIT・ソフトウェア業界などであれば、自分たちの開発にかける時間さえ確保できれば、先行投資をあまりかけずにサービスを開発することができますので、大規模な資金がなくてもはじめることができます。

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2020年代に向けた起業検討は、学生ならではの感性を活かそう

ここまで、学生起業が増えてきた背景や学生起業ならではの強み、学生起業に向いているビジネスの特徴について述べてきました。昨今の景況感や大企業のオープンイノベーションの趨勢を踏まえると、今後も学生起業は増えていく可能性が高いといえるでしょう。また、学生起業を後押しする支援制度や育成プログラムも今後さらに充実していくものと思われます。

学生の強みは、やはり“若者ならではの感性”、そして“失敗を恐れずに飛び込むことのできるチャレンジ精神”。これらを活かし、自分たちに合った業種やサービスの特性をつかむことで、社会人になってから起業した方よりも価値を出せる部分が必ずあります。自らの感性を信じて、ぜひ最初の一歩を踏み出してみましょう。

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