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無職でも無収入でも会社設立は可能!まずは設立前後に費用が発生するポイントを押さえよう

はじめに

起業を検討している方の中には、現在は無職・無収入という方もいらっしゃるかもしれません。現在無職・無収入であったとしても、新しく会社を設立することは可能なのでしょうか。
結論から言えば、現状の就労状況や収入の有無にかかわらず会社を設立することは可能です。ただし、設立にはある程度費用がかかりますので、会社設立前後にどんな費用がどれくらい発生するのかを正しく把握し、あとから困ることがないようにしましょう。

▼目次

無職や無収入でも会社を設立するために

先ほども言ったように現在無職や無収入であったとしても、新しく会社を設立することは可能です。ただ単純に会社を設立するといっても、株式会社だけではなく、合同会社・合資会社・合名会社など、企業には様々な形態がありますので、まずはどういう形態の会社を設立するかを考える必要があります。
以前は株式会社を設立するためには資本金1,000万円が必要という条件があり、多くの起業を考える方にとって、株式会社の設立はとてもハードルが高いものでした。しかし、2006年におこなわれた会社法の改正によってその条件は見直され、今では資本金1円から設立することが可能になっています。そのため、株式会社を設立する時の難易度も、2006年以前と比較するとはるかにハードルが下がったといえるでしょう。

しかし、だからといって資本金に充当する1円さえあれば会社が設立できるのかというと決してそうではありません。会社を設立するためにはさまざまな費用がかかります。次に紹介する会社を設立する場合にかかる費用を把握した上で、会社の設立を計画的に進めていくことが必要です。

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会社を設立する時の費用が発生するポイント

では、実際に会社を設立する時にどのような費用が発生するのかについて見ていきましょう。ここでは会社形態の代表的な2つである株式会社の場合と合同会社の場合を比較して説明します。それぞれの形態によってどういう費用がどの程度発生するのか把握し、自分にあった会社形態を選択するようにしましょう。

1.株式会社の場合

・資本金
2006年に改正された会社法によると、資本金1円から株式会社を設立することが可能です。なお資本金に上限はないため、1円以上であればいくらでも設定することができます。ただし、資本金1,000万円未満の場合は、消費税の免税をはじめ多くの特典を受けることができますので、まずは1円~1,000万円の間で設立し、その後の事業拡大に合わせて増資を検討していくのが良いでしょう。

・法定費用
会社を設立する時にかかる費用は資本金だけではありません。資本金に加え「法定費用」と呼ばれる費用が必要となります。
法定費用の1つが「定款認証費」です。電子定款を発行する場合は、定款認証手数料5万円と定款謄本保存料300円の計50,300円、紙の定款を発行する場合は定款認証手数料5万円と定款謄本保存料2,000円に加え、印紙代4万円の計92,000円がかかります。

また、定款認証費のほかに会社の登記にかかる「登録免許税」が15万円必要になります。まとめると、株式会社を設立する時に必要な法定費用としては、20万円から25万円程度がかかると見込んでおくと良いでしょう。

2.合同会社の場合

・資本金
合同会社の場合も、株式会社を設立する場合と資本金の考え方は同じですので、1円から設立することが可能です。

・法定費用
続いて法定費用を見ていきましょう。合同会社の場合、定款認証手数料はかかりませんが、紙の定款の場合は別途4万円の印紙代のみ発生します。加えて登録免許税は6万円です。結論として、合同会社を設立する時には、6万円から10万円の法定費用が発生することになります。

また、金額的にはあまり大きくはありませんが、会社の実印や、発起人の印鑑証明書の準備も株式会社・合同会社ともに設立の時に必要になります。

3.代行サービスを利用する場合は代行料も発生する

ここまでを読んで、「考えなければいけないことが多すぎて大変そう…」と不安になった方もいるかもしれません。そういった方におすすめなのが、会社の設立に必要な諸々の手続きを代わりに対応してくれる代行サービスを利用することです。

株式会社であっても合同会社であっても、電子定款にすることで紙の定款と比べて、印紙代4万円を節約することができますが、電子定款を作成するためにはマイナンバーや電子証明書の取得、それらを読み取るためのICカードリーダーの購入など、多くの手間がかかります。代行サービスを運営する会社は、そうした面倒な手続きのプロのため、不安な方は代行サービスを利用すると良いでしょう。時間的にも代行サービスを利用する方がスムーズな場合が多くなります。

ただし、代行サービスに依頼する場合にも、多数の代行業者が存在しますので、どの代行サービスを選ぶのかは非常に重要な選択です。まずはしっかりと実績がある会社や、税理士・会計士・行政書士などの専門的な資格を有した士業の方が提供しているサービスを検討することをおすすめします。ただし、代行にかかる手数料は数千円のところから数万円必要になるところまで幅広く、加えて会社を設立した後も専属の顧問契約を求められる場合がありますので、各サービスをよく比較して選択しましょう。

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会社設立後にはランニングコストもかかる

ここまで、会社を新しく設立する時に発生する費用について説明しました。しかし、会社を設立する時にかかる費用は、これですべてというわけではありません。設立してからもランニングコストが発生しますので、そうした費用も事前に認識しておく必要があるでしょう。ランニングコストについても代表的な株式会社と合同会社の場合に分けてご説明します。

1.株式会社の場合

ご存知の方も多いかもしれませんが、会社を設立すると法人税の支払いが必要となります。たとえ会社が赤字であったとしても、最低で年間7万円の支払いが必要です。また、株式会社には年度末には決算公告義務があり、特に官報に掲載する場合は6万円程度の費用が発生します。

2.合同会社の場合

法人税については株式会社と同じく、年間7万円の支払いが最低でも必要です。株式会社と違って合同会社には決算公告義務はありません。

以上は形式的に必要な費用ですが、それ以外にも費用が発生する可能性があることを知っておきましょう。株式会社であっても合同会社であっても、税務署へ税務の届出を行う必要があります。ただ主となる業務をおこないながらこのような必要事務を自分1人だけでおこなうのは、専門家でもない限り非常に難易度が高いと思われます。

日々の経理業務を怠って、「帳簿がない」「領収書がない」などの問題点が税務調査によって明らかになれば、追徴課税が発生してしまいます。毎月数万円程度の費用は発生しますが、不安な方は税理士に顧問をお願いするなど、プロの力を借りることを検討しましょう。

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無職でも無収入でも会社は設立できる。ただし

冒頭でも述べたように、会社を設立する時に現状無職であったり無収入であったりすることは特に問題にはなりません。2006年の会社法の改正を機に、会社を設立することのハードルはかなり下がった状態であると言えるでしょう。
ただし、会社を設立する時に必要な費用は資本金だけではなく、定款認証費や登録免許税などの法定費用のほか、設立後に必要になる法人税などのランニングコストもあります。「1円さえあれば起業できる」と安易に考えるのではなく、会社を設立した後にどういう事業・サービスをおこない、どの程度の売上が確保できるのか、また必要になるランニングコストをまかなうことができるか、ということを今一度考え、会社を設立したあとで後悔することがないようにしましょう。

会社を設立する、すなわち起業するということは、言葉の通り「事業を興す」ということです。会社を設立することがゴールではなく、その事業を運営することによって、社会にどんな価値を提供したいのか、その結果として自分が周囲や社会からどんな評価を得たいのかをよく考え、継続的に会社が運営できる仕組みを作らなければなりません。設立する時の費用や設立した後のランニングコストなどの必要投資を十分考慮した上で、自分がやりたいと思える事業かどうか、社会に価値を生み出し続ける事業であるかどうかを改めて考えてみてはいかがでしょうか。

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