法人の確定申告はどうする?
はじめに
確定申告は、税金の納税額を確定し、納税額の根拠である申告書を提出することです。主に税務署に提出する申告書の手続きを指すことが多いですが、法人の場合確定申告にはどのようなものがあるのでしょうか。また、どのような手順で確定申告をするのでしょう。
法人の確定申告について、知っておきたい種類と方法、法人でも確定申告が必要ないケースについて順に紹介します。
▼目次
- はじめに
- 法人がしなければならない確定申告は2つ
- 1.法人税の確定申告
- 2.消費税の確定申告
- 法人の確定申告の手順
- 1.法人税の確定申告の手順
- 2.消費税の確定申告の手順
- 法人が確定申告をしないケース
- ・法人が確定申告をしないペナルティ
- ・確定申告しないケースとは?
- まとめ
法人がしなければならない確定申告は2つ
法人として営業するなら、納税をし、年間の営業活動を明らかにするための確定申告が必要です。法人がしなければならない、確定申告は法人税の確定申告と消費税の確定申告の2つにわけられます。
1.法人税の確定申告
法人税の確定申告は、どの企業でも共通して行わなくてはならないものです。特別な理由もなく法人税の申告を怠ると、脱税にあたる可能性もあります。法人税の確定申告が、法人税にかかわるものだからです。
なお、法人税というのは、個人の所得税のような位置づけにあるもの。所得税と税率などが変わってきますが、法人の所得に課せられるもので、所得に課税される国税という点で所得税との共通点があります。
なお、法人税の確定申告書は税務署に提出するものですが、ほかに都道府県に提出する申告書、市町村に提出する申告書があります。都道府県宛の申告書、市町村宛の申告書、どちらも地方税の課税に使われるもので、税務署に提出する法人税の確定申告書をベースに作成するため、特別に新しく作成する必要はありません。
2.消費税の確定申告
消費税の確定申告は、消費税事業者の場合に必要になるものです。消費税事業者とは、個人でも法人でも、売上1,000万円を超える事業者のこと。消費税の確定申告は、法人税とは違い、前年ではなく、前々年度の売上高が基準になります。
前々年度の売上が1,000万円を超えると申告の必要がありますが、超えなければ申告の必要がありません。売上1,000万円を前後する事業者の場合、申告の有無が変化するので注意するようにしましょう。
なお、直近の消費税額が48万円を超える場合、確定申告のほかに中間申告といって、期間途中の申告と納税が必要です。
法人の確定申告の手順
法人の確定申告にはどのような種類があるか紹介してきましたが、肝心な確定申告はどのようにして行うのでしょうか。法人税と消費税、それぞれの確定申告のやり方を紹介します。
1.法人税の確定申告の手順
法人税の確定申告書を作成するために行わなくてはならないのが、決算手続きです。決算手続きとは、簡単に説明すると、事業年度で取引を閉めて、事業年度内最終日時点での営業成績や財務状況を確定させる手続きのこと。事業年度を終える際の、経理上必要な手続きです。
決算手続きではまず棚卸を実施して、商品などの在庫の確認を行います。合わせて、銀行の残高証明書を取り寄せるなど最終日の現金の残高も確認しておきましょう。
次に行うのが、帳簿の締めと決算仕訳の追加。帳簿の締めはこれ以上新たに取引を追加しないための作業です。事業年度内のすべての取引が帳簿に記載されていることを確認して、帳簿を締めます。帳簿を締めた後は、減価償却費、前払金、未払金の振り替えなど、次期繰り越しにあたり必要な仕訳、決算で必要な仕訳を追加する作業です。
決算処理がすべて終了した段階で、対策対照表や損益計算書など期間中の事業の流れや財務状況などを示す決算書を作成していきます。決算書の作成後に取り組むのが法人税の確定申告書の作成です。なお、決算書の項目と税法上の項目は微妙に異なるため、調整をしながら申告書を作成する必要があります。
2.消費税の確定申告の手順
消費税の確定申告の手順は、基本的には法人税と同じです。決算書を作成し終わった時点で、消費税の申告書の作成に取り組んでいきます。
消費税の確定申告では、消費税の区分別に計算していく必要があるため、消費税の区分を設定して、後に抽出できる会計ソフトの利用が便利です。
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法人が確定申告をしないケース
消費税の確定申告は一部免除が認められていますが、法人税の確定申告については法人であればどこも行わなくてはならないものだと紹介しました。そのため、法人が確定申告しなくてよいことは原則的に考えられません。
仮に、確定申告の義務があるにもかかわらず、確定申告と納税を放置してしまうとペナルティが発生します。確定申告をしないことは、デメリットでしかありません。
・法人が確定申告をしないペナルティ
法人が確定申告をしない場合、ペナルティが発生するといいましたが、具体的に発生する可能性があるのが、無申告加算税と延滞税です。無申告加算税は、確定申告をしなかったことによる税金のペナルティ、延滞税は確定申告が遅れたことによる税金のペナルティです。
いずれも、もともと支払うはずだった納税額にプラスされる形で支払わなくてはなりません。確定申告をしないことで、本来の税負担がより重くなるため、確定申告をしないことがいかにデメリットかわかります。
このほか、確定申告を怠ると、何もかもおざなりな会社だと、取引先からの信用も失ってしまう可能性があるでしょう。ペナルティだけでなく、社会的信用の降下についてもよく知っておきましょう。
・確定申告しないケースとは?
ペナルティも発生するので、法人が確定申告をしないケースはほぼありません。しかし、それでも法人が確定申告しないケースがあります。それは故意に確定申告をしないのではなく、ある特別な事情がある場合です。
たとえば、破産などで会社を畳むために清算をしたり、あるいは一時営業を注意するために会社を眠らせたりするようなことがあります。こうした場合は、営業活動が発生しないので、確定申告をする必要がありません。しかし、会社が清算状態か休眠状態化は税務署にはわからないものです。
そのため、特別な事情で確定申告をしない場合は、税務署に届け出る必要があります。いずれにしても法人が無断で確定申告しないことはありません。
まとめ
法人の確定申告の種類は主に2つ、所得税の確定申告と消費税の確定申告です。どちらも税務署で行う確定申告で、都道府県や市町村への地方税の申告を含めると、合計4つの確定申告があります。内容がほぼ同じであるため、通常は地方税の申告を除き、所得税と消費税の2種類で紹介されることも多いです。
確定申告に関しては、基本的な流れは同じですが申告する際の記入内容が変わってきます。それぞれの申告書の特徴を知っておくことも大切です。しかし、個人の確定申告と比べると複雑な部分も多いため、申告書の内容を見返すために知っておく程度で、税理士など専門家に依頼することをお勧めします。