会社を設立するとさまざまな税金が発生する!知っておくべき税金の種類
はじめに
会社を設立する上で、避けて通れないのが税金問題です。少しでも税金を安くしたいけど脱税になってしまうと大変。ここでは会社にかかる税金についてご紹介します。
会社を設立することで可能な税金対策や税金の種類、特定の条件で免除される税金について解説しますので、会社設立の際にはぜひ参考にしてください。
▼目次
会社設立は税金対策になる?
個人事業主で事業をするより、会社設立をして事業をするほうが税金対策になる場合があります。税金対策の観点から、会社設立をするメリットを見ていきましょう。
1.会社設立で事業主の所得を給与所得にできる
個人事業主は、売上高などの総収入から必要経費を引いた金額が事業所得になりますが、会社を設立すると会社からの報酬として給与所得にできます。
給与所得は所得税がかかることになりますが、65万〜220万円の給与所得控除が適用されるのです。個人事業主では65万円が青色申告特別控除となるため、会社を設立し、役員報酬として受け取るほうが節税できるという結論になります。
個人事業主として事業をしていても、ある程度売上が確保できるようになったら、迷わず会社設立するのが賢い選択です。
2.会社の場合欠損金の長期繰越が可能
青色申告を選択すると、10年の赤字繰越ができます。とくに事業をスタートした頃は赤字になる可能性が高いのですが、時期以降の利益から差し引かれるのでかなり大きな節税になります。
個人事業主として事業をしている場合は、3年間の赤字繰越が可能です。3年と10年ではかなりの差がありますね。青色申告で会社設立するほうが、個人事業主よりも長く節税ができるのです。
3.税金がお得になる可能性がある
法人税は所得に対してかかる税金で、個人事業主では所得税ということになります。法人税の税率は最大23.2%、所得税は最大45%です。単純にこれだけ見ても、法人税のほうが節税できることは明確です。
所得税は所得が695万円を超えると23%、900万円を超えると33%に跳ね上がることから、事業規模が大きければ大きいほど、法人にしたほうが節税に繋がることになります。
会社設立で知っておくべき税金の種類
会社設立でかかってくる税金の種類はさまざまなものがありますが、とくに知識として持っておきたいのは、3種類ある法人税と消費税です。
1.法人の所得に課せられる「法人税」
法人税は事業年度ごとに国に納める税金です。会社が得た利益に対して課税されますが、税率は所得税より低い傾向にあります。
通常、売上から経費を引いた額が会社の所得になりますが、法人税の計算は、益金から損失を引いて法人所得を算出します。
この法人所得に法人税率を乗じて出た数字が、支払う法人税の額となります。法人税の額は、会社が儲かれば儲かるほど上がっていくということです。
2.赤字でも発生する「法人住民税」
法人住民税は事業年度ごとに課税される地方税で、内訳は市町村民税と道府県民税の2種類です。会社がある都道府県や市町村によって税率が違います。
所得割と均等割があり、会社が得た利益に対して課税されるのが所得割、所得関係なく定額で決まっているのが均等割です。
所得割は、赤字で法人税が0円の場合には非課税となりますが、均等割は赤字であっても支払わなければならないので注意してください。
3.資本金などで異なる「法人事業税」
法人事業税は事業年度ごとに課税される地方税で、所得に対して課税されます。400万円以下、400万〜800万円以下、800万円超えの3段階で税率が分けられています。
所得×法人事業税率で納付額が計算できます。法人事業税率は、各都道府県によって違うので、税務課に確認してください。
法人事業税は法人税と同じく所得に対しての税金なので、赤字の場合、納付する必要はありません。
4.売上によって発生する「消費税」
消費税は、普段買い物などで目にしていることも多いので知っている人も多いですが、物を購入したりサービスを受けたりしたときに払う税金です。消費者が税金を払い、それを受け取った事業者が納税する仕組みになっています。これを間接税といいます。
売上にかかる消費税額から仕入れで支払った消費税額を引くと、納税する消費税額が出ます。
会社設立で免除される税金がある?
資本金が1,000万円未満の場合、初年度の消費税は免税されます。消費税は免除してほしいけど資本金1,000万円未満では少なすぎる、と感じる人にも、資本金を1,000万円未満に抑える方法をご紹介します。
例えば自己資産が3,000万円ある場合、999万円を資本金にして残りを会社への貸付として借入金というようにすれば、資本金を1,000万円未満にできるのです。
2年目も消費税を免除したい場合は、資本金1,000万円未満で3つある条件の内ひとつをクリアしなければなりません。条件は以下の3つです。
・特定期間の売上額が1,000万円以下
・特定期間の給与支払額が1,000万円以下
・設立した1期目が7ヶ月以下
このように、消費税を免税する方法を説明しましたが、消費税が免税になる対象であっても課税申告したほうがいい場合もあります。
高額な設備の購入や大きな仕入れをしたときなど、支払う消費税が受け取った消費税を上回る場合は、差し引き分を還付してもらえる制度があります。
免税されるよりも課税申告して還付金を受け取るほうが得する場合があるので、どちらが有利か考えて申告してください。
このように、会社設立に伴う税金は数多くあります。税金の種類によって性質や計算方法も違うので、すべて自分で把握するのは大変難しいことです。相当な知識がないと節税もできないですし、逆に損をしてしまう可能性もあります。
素人では理解しづらい税関係は、税理士など専門家に依頼するのが一番ですが、会計ソフトを利用して自社で賄うのもひとつの手段です。
まとめ
税金関係は、なかなか自分で勉強しても難しく、理解できないことも多いです。しかし、基本的な知識はしっかり持っておく必要があります。
ある程度の知識がないと、損をするばかりかうっかり脱税してしまっていたとなれば大変なことになります。税金関係の法律は変わることも多いので、わからないことは税理士に聞くなどして、払うべき税金は払っていきましょう。税理士を雇う費用がなければ、会社設立ツールも使用してみましょう。