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ベンチャー企業が創業後、すぐ課題を感じやすいPR・広報戦略

はじめに

いかなる業種の企業であっても、企業として利益を上げるためには会社自体の存在、そして商品やサービスを世の中に知ってもらわないことには始まりません。そのためにPRや広報活動は必要不可欠です。今回は、創業後間もないベンチャー企業に焦点を当てて、PR・広報戦略について考えてみます。

▼目次

 

スタートアップしたばかりのベンチャー企業にとって、PR・広報戦略は必須

大企業であれば、PRや広報専任の部署があり、常に外部に向けて自社の情報を発信していくことができますが、多くの中小企業、とりわけ起業したばかりのベンチャー企業にとってはなかなかPR・広報にまで手が回しにくい傾向があります。たとえば少人数で起業した場合、事業を安定させるのに手一杯となってしまい、広報専任の人物を置くことは難しいのではないでしょうか。

しかし、ベンチャー起業だからこそPR・広報戦略を立てて積極的に実施したほうが確実によいといえます。ではその理由を見てみましょう。

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なぜベンチャー企業に、PR・広報戦略が必要なのか

創業したてのベンチャー企業というと、よほどの話題性がないかぎりは商品やサービスはおろか企業名もまだ知られておらず、まさにゼロからのスタートです。

すでに名の知られている大企業やそのジャンルで地位を確立している企業であれば、少しの情報発信でも、新商品やサービスを紹介してくれる機会は多いことでしょう。しかしながら、まだまだこれからという創業直後のベンチャー企業では、機会を得るのがなかなか難しいのが現状です。人手がない、とにかく忙しいなどで後回しにしてしまうこともあるかもしれませんが、PRや広報活動に力を入れることの重要性を理解しておく必要があります。

お金を出してメディアに商品を露出する宣伝とは違い、PRや広報は、企業がメディアへ情報発信をし、商品やサービスに興味を持ってもらえてはじめて、記事などで取り上げてもらえます。逆にいうとお金はかかりませんが、興味をもたれないものは取り上げてもらえません。つまり企業側の努力なくしてPR・広報活動は成り立たないのです。

とはいえ、ただ闇雲にテレビや雑誌、Webメディアに取り上げてもらおうと思っていても、どうしたらいいのかわからない、という人が多いのではないでしょうか。まずは、「世の中の人にどのような会社だと認識されたいのか」、「どのように商品やサービスを広めたいのか」を考えてみましょう。その際に大切なのはより具体的な目的や目指す形を決めることです。形さえ見えてくれば、広報戦略が見えてくるはずです。

とにかく、自社のサービスを知ってもらいたい、利用者を増やしたいのであれば、サービス認知が目的となります。そのためには、どのようなユーザー層に認知されたいのか。対象のユーザー層に認知されるためには、どんな媒体に向けて広報活動をしていけば良いのか。一つ一つの課題から適切な方法を考えることによって、目的と戦略が少しずつ明確になってくるはずです。

優秀な人材がほしいという目的の場合は、まず企業認知が必要となるでしょう。起業したてのベンチャー企業は創業者がそのまま、いわば企業の顔となって動いているケースが多いため、経営者の顔が見えづらい大企業よりも企業認知・企業広報がやりやすい面もあります。会社を立ち上げた経緯、企業の理念やミッションなど、社長自らが熱く語り、メディアを通じて発信していきましょう。そうすることで、会社の具体的なイメージが伝わりやすく、結果的に商品やサービスのファンが増えたり、人材獲得につながることが期待できます。

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対策を打たないとどうなる?

では、何の広報活動も行なわなかったらどうなるでしょうか。

起業したばかりで広報活動に力を入れる余裕がない、ある程度軌道に乗ってきてからPR活動をすれば十分と考えている人も多いかもしれません。
しかし、どんなに素晴らしい商品やサービスを持っていても、世の中に認知されなくては社会に存在していないも同然といっても過言ではありません。知ってもらっていてこそ利用者が増え、販売数が増え、会社の利益へとつながっていきます。

もし何も動かなければ、無名企業のまま埋もれていってしまうかもしれません。だからこそ、会社を設立する段階から、PR・広報戦略を練り、積極的に実行していくことが企業の成長へとつながる鍵となるのです。

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ベンチャー企業がまず行うべき、PR・広報施策

それでは、具体的なPR・広報の施策案をいくつか紹介します。

 

1.プレスリリースを出す

お金がかからず、かつすぐにでもできる商品認知のための広報として、まずは「プレスリリース」が挙げられます。プレスリリースとは、新聞社や雑誌社、テレビ局などの報道機関に向けた情報の提供・発信を意味します。「ニュースリリース」とも呼ばれ、広報活動の第一歩といえる手段です。

たとえば、新商品を発売した場合、その商品の特徴やアピールポイント、どのようなシーンで使えるかなどを簡潔にまとめ、メール・FAX・郵送などで取り上げてほしいメディアに向けて送ります。受け取ったメディアの記者に興味を持ってもらえればプレスリリースに書いている情報を元に記事がつくられたり、もっと詳しい話が聞きたいと取材依頼が来たりする場合があります。

各メディアの連絡先が入手できれば自ら送付できますが、難しい場合はプレスリリース配信会社のサービスを利用することもできます。1配信3万円前後のサービスが多いようで、なかにはスタートアップ限定で、一定期間のプレスリリース配信サービスを無料で利用できるキャンペーンを行っているところもあります。

 

2.特定のメディアに企画を持ち込む

一度に多くのメディアに向けて情報発信するプレスリリースとは別で、狙いを定めたメディアに直接企画を持ち込むのも広報戦略のひとつです。

不特定多数に情報発信をするよりも、たとえば、自社の商品やサービスに興味を持ってくれそうな記者や編集者に直接情報を持っていくことで、記事として取り上げてもらえる確率はより高くなります。

ただしそのためにはメディアや媒体研究は欠かせません。この雑誌なら興味を持ってもらえそう、という相手を探してみましょう。ライバル会社の商品をすでに取り上げている記事があれば、その媒体は同じジャンルの商品に興味がある、読者層にウケがいいと予想することができます。署名記事であれば担当者が分かりますし、連絡先が分からない場合は、企業の代表窓口に電話をして担当部署へつないでもらうこともできます。とにかく積極的にアプローチする行動力が、PR・広報には必要です。

 

3.メディアキャラバンを行う

「メディアキャラバン」とは、自社の商品を持って新聞社や出版社の各部署をまわり、商品アピールをすることです。プレスリリースだけでは伝えきれない商品の魅力を、直に相手に訴えることができます。必ず記事に掲載してもらえるという確約がとれるわけではないですが、ただプレスリリースを送るよりも、遥かに掲載率は上がります。また、記者や編集者と名刺交換ができるので、その後の広報活動にも活かせる絶好のチャンスです。

その際にハードルとなるのが、各メディア担当にアポイントを取ることでしょう。ただでさえ忙しい記者や編集者に時間を割いてもらうことは、なかなかに大変です。すでに連絡先を知っている、知り合いがいる場合は別ですが、まったく初めての場合は、アポイントの前にまず連絡先を入手するところから始めなくてはなりません。
まずは、訪問したい部署とは別部署にでも知人がいる会社からスタートして、少しずつコツを掴むというのも一つの手です。これまでに知り合った人脈を駆使して、ぜひメディアキャラバンを実施してみましょう。

また、ある程度まとまった金額(多くの場合は10万円以上)が必要にはなりますが、PR会社に依頼すれば、アポ取りからキャラバン代行までをお願いすることもできるので、予算に余裕があれば検討してみるのもひとつ手かもしれません。

 

4.社長自らがメディア露出する

先に「ベンチャー企業は、創業者がそのまま企業の顔になりやすい」と述べましたが、そのメリットを最大限に活かす広報活動が、社長自らメディア露出するというアイデアです。

たとえば、それほど頻繁に商品を発売しない場合、プレスリリースなどを出す機会も少なくなってしまいます。スタートアップしたばかりのベンチャー企業であればなおさらです。そこで、使えるのが「社長のPR」なのです。

自社のホームページはもちろん、機会があれば積極的に社長の顔を出します。そして、社長が持つ強みを全面にアピールし、キャラクターや会社に対する想い、起業した背景などを発信していきましょう。最大にして最強のブランディングになることが期待できます。

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内製が厳しければ、時に外注も検討してPR・広報を実施しよう

さまざまなPR・広報手段を述べてきましたが、数回メディアに露出するだけで、取材件数が芋づる式に増えていくことも珍しくはありません。記者や編集者は、専門誌、地方のエリア誌などを企画のヒントにしていることが多々ありますので、どんなに小さな機会でも、露出できるチャンスはすべて活かしていきましょう。

どうしても自社で広報活動を行うことが難しい場合は、外部への依頼も検討することをおすすめします。初期投資はある程度必要ですが、一度認知された企業・商品・サービスは、その後大きく飛躍できる強みとなります。今一度、PR・広報の重要性を考慮して、できることから始めてみてはいかがでしょうか。



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