会社設立のために作成すべき書類とは?不備のないように準備しよう
はじめに
会社を設立するためには、複雑な手続きを1つ1つ確実にこなす必要があります。作成する書類数は膨大で、提出先も多岐に渡るため事前にきちんと確認すべきです。ここでは、会社設立のために作成すべき書類を提出先ごとに紹介します。これから会社を設立しようと考えている方は、参考にしてください。
▼目次
公証人役場に提出する必要書類
会社を設立するためには、まず法務局が所管する公証人役場に行き、定款の認証を受ける必要があります。定款とは、会社などの組織の活動を定めた抜本規則を記載した書面のことです。通常業務で定款が使われる機会はほとんどありませんが、会社の組織を変更するなど重要な決定を行う際に必要になります。
定款は内容が抽象的すぎる、法律上認められていない事業内容が書かれているなどの不備があった場合には、公証人役場で認証されません。また、書き方が細かく決められているため、従っていないと修正が必要です。自身で作成するほか、行政書士に作成を委任する方法もあります。
公証人役場で定款の認証を受けるときは、以下の書類を提出しましょう。
・定款3部
・株主となる人全員の印鑑証明書
・収入印紙4万円分(電子定款では不要)
・定款認証の手数料5万円
印鑑証明書について、取締役となる方は後ほど法務局でも印鑑証明書の提出が必要となるため、2通取得しておくことをおすすめします。印鑑証明書は居住地を管轄する役所で取得できるため、株主全員がそれぞれ取得しましょう。
また、基本的には取締役となる方が公証人役場に行くことになりますが、代理人に行ってもらうケースもあります。その場合は上記の書類に加えて、委任状も作成して持参してください。
法務局に提出する必要書類
定款の認証を受けたあとは、代表者の口座に資本金を払い込ん でください。資本金の払込が済んだら、今度は法務局に必要な書類を提出することになります。法務局は登記に関する書類を管理するところなので、会社の設立登記も法務局で行うのです。
登記とは、会社の基本情報やクライアントに影響を与える可能性のある重要事項を社会全体に向けて公開する制度のこと。会社を設立するときは、登記は必要不可欠です。登記の申請は資本金が払い込まれているか、設立手続きが法律や定款に反していないかを取締役が確認してから2週間以内に行うこととされています。
株式会社設立に必要な書類は、以下のとおりです。設立する会社の種類によって必要となる書類が異なることがあるため、事前に確認しておきましょう。
・登記申請書
・認証済み定款
・取締役・代表取締役の承認承諾書
・発起人の決定書
・資本金払込を証明する書面
・印鑑届出書
・代表取締役・取締役個人の印鑑証明書
・登記すべき事項を保存したCD-RまたはFD
修正事項がなかった場合、申請してから1週間ほどで登記簿謄本と印鑑証明が取れます。修正が必要な場合は時間がかかることがあるため、申請の際は入念に書類をチェックしておきましょう。法務局に必要書類を提出して登記手続きが完了すれば、会社を設立したことになります。登記簿謄本と印鑑証明を手に入れたら、本格的に事業を開始できるようになるのです。
税務署に提出する必要書類
登記が完了したら、次は税務署に行って税金関係の届け出をすることになります。設立した会社の本店所在地を管轄している税務署に行かなければならないため、管轄がどこかを確認してください。以下の書類を、会社設立から2カ月以内に提出しましょう。
・法人設立届出書
・会社の登記簿謄本
・定款の写し
・設立時点の貸借対照表
・株主名簿の写し
・現物出資の内容や出資者氏名が確認できる書類
また、上記のほかに税金対策のために税務署へ提出すべき書類もあります。
・青色申告承認申請書
・給与支払事務所等の開設届出書
・棚卸資産の評価方法の届出書
・減価償却資産の償却方法の届出書
・源泉所得税の納期の特例に関する申請書
提出期限が定められている書類もあるため注意が必要となります。
青色申告承認申請書は会社を設立した日から3カ月以内、給与支払事務所等の開設届出書は1回目の給料を支払う日まで、棚卸資産の評価方法の届出書と減価償却資産の償却方法の届出書は最初の事業年度の確定申告期限までなどです。
その他の必要書類
税務署と並行して、地方公共団体などにも書類を提出する必要があります。必要なものと提出先、期間を確認しておきましょう。
まず、都道府県や市町村などの地方公共団体には、以下の書類を提出します。
・法人設立届出書
・定款の写し
・登記事項証明書
地方ごとに提出すべき書類は異なることがあるため、事前に事務所が所在する地域を管轄している役所のホームページや窓口で書類を確認しておきましょう。都道府県に提出するときは都道府県税事務所、市町村に提出するときは市町村役場になります。
また、1人でも従業員を雇うなら、労働基準監督署とハローワークで労働保険加入手続きをしなければなりません。労働基準監督署では労災保険関連の手続き、ハローワークでは雇用保険関係の手続きが必要です。
労働基準監督署には、従業員を雇用した日の翌日から10日以内に以下の書類を提出します。
・藤堂保険関係成立届
・登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
・従業員が働く事務所の賃貸借契約書
また、ハローワークには2種類の届け出が必要です。
1つ目は労働保険料を前払いするための書類として、以下を従業員の雇用開始日から50日以内に提出してください。
・労働保険概算保険料申告書
・労働者名簿
・賃金計算の基礎となる資料(賃金台帳)
・出勤簿やタイムカードなど
2つ目は従業員を雇ったことを報告する書類として、以下を雇用関係が生じた日の翌日から10日以内に提出します。
・雇用保険適用事務所設置届
・登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
・労働者名簿
・賃金計算の基礎となる資料(賃金台帳)
・出勤簿やタイムカードなど
そのほか、年金事務所で社会保険加入の手続きも必要です。会社設立後の社会保険加入については、以下のページで解説しているため参考にしてください。(会社設立 社会保険 記事へのリンク)
まとめ
会社を設立するためには、膨大な数の書類を用意する必要があります。複雑な手続きをこなして、やっと自身の会社を持てるのです。必要な書類や提出先をきちんと確認して、不備のないように手続きを進めましょう。
会社設立の資本金に関しては「払込」が一般的なようです。
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