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会社設立ではどのくらいの費用がかかる?

はじめに

会社設立を考えたとき、誰もが気になるのは費用のこと。どれくらいの費用がかかるかをあらかじめ知ることで、会社設立までのスケジュールが立てやすかったり、用意すべきお金の目処がつきやすかったりします。

会社設立でかかる費用を、株式会社の場合と合同会社の場合に分けて解説します。また資本金についても触れますので、会社設立時に準備しておきたいお金がどれくらいなのか、自分が設立しようとする会社に当てはめて考えてみてください。

▼目次

会社設立でかかる費用は?【株式会社の場合】

2006年5月1日に施行された会社法で、会社の種類は株式会社、合同会社、合名会社、合資会社の4種類になりました。合同会社はこのときにできた新会社です。

4種類とはいっても、合名会社や合資会社は無限責任で経営者個人にまで金銭的な責任が及ぶので、基本的に設立されることはありません。そのため会社設立する際には、実質、株式会社と合同会社の2種類から選ぶことになります。

株式会社、合同会社それぞれにメリット、デメリットは存在します。

2種類ある会社の中でも、株式会社は資金調達に有利な形態です。株を発行し資金調達することを考えている場合や、上場を考えている場合は株式会社を選ぶとよいでしょう。

また株式会社は、イメージがよく他社との取引に有利な場合もあります。株式会社以外とは取引をしないという会社も存在します。取引する可能性がある会社はどうなのか調べておくことも大切です。

株式会社で会社設立する場合にかかる法定費用は、定款にかかる費用、登記にかかる費用の2つです。

・定款にかかる費用

  紙の定款の場合 電子定款の場合
印紙代 40,000円 ×
定款の謄本 約2,000円 約2,000円
認証手数料 50,000円 50,000円

定款にかかる費用は、紙の定款を作成するか電子定款を作成するかで40,000円の違いが出ます。印紙代が必要な紙の定款の場合は約92,000円かかりますが、印紙代が不要な電子定款の場合は約52,000円かかります。

・登記にかかる費用

登記にかかる費用は登録免許税と呼ばれるもので、資本金の金額×0.7%で計算されます。この式で計算された金額が150,000円以下の場合でも、最低150,000円は必要です。

この2つの法定費用を合算すると、電子定款の場合は約20万円、紙の定款の場合は約24万円かかります。ただし登録免許税を最低額の15万円で計算した場合です。

株式会社設立なら、最低でも20万〜25万円は用意する必要があります。

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会社設立でかかる費用は?【合同会社の場合】

合同会社は株主総会や決済公告などが必要ありません。利益の配分も出資比率に関係なく自由に決定することができます。経営の自由度が高い会社の形態です。そのため2006年に登場してから、年々合同会社で登記する会社が増えています。

合同会社設立にかかる法定費用も、株式会社設立時と同様、定款にかかる費用と登記にかかる費用の2種類です。

・定款にかかる費用

  紙の定款の場合 電子定款の場合
印紙代 40,000円 ×
定款の謄本 約2,000円 約2,000円
認証手数料 × ×

株式会社設立時と同じく、紙の定款の場合は印紙代が40,000円かかりますが、合同会社設立の場合は、認証手数料はいりません。
紙の定款の場合だと約42,000円かかりますが、電子定款の場合は約2,000円だけで済みます。

・登記にかかる費用

株式会社設立と同じく、登録免許税がかかります。資本金の金額×0.7%が登録免許税としてかかりますが、60,000円以下の場合でも、最低60,000円が必要です。

この2つの法定費用を合算すると、電子定款の場合は約60,000円、紙の定款の場合は約10万円かかります。ただし登録免許税を最低額の60,000円で計算した場合です。

合同会社設立なら、最低でも100,000円は用意する必要があります。この金額は、株式会社設立の法定費用と比べると約半分の少ない資金で会社を設立できるということになります。

できるだけ安く会社を設立したいと考えているならば、合同会社を設立するのがよいでしょう。

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会社設立の費用と資本金

ここまでで紹介したのはあくまでも会社を作るために必要な法定費用です。印鑑を作る費用や印鑑登録の手数料などは入っていません。

電子定款の場合は、印紙代の40,000円を節約できますが、電子定款を作成するのに、ソフトやICカードリーダー、住民基本台帳ICカードが必要になってきます。
ソフトは約35,000円、ICカードリーダーは約3,000円、住民基本台帳ICカードは約500円かかります。

それに事業を展開していくためには、仕事で使う道具など諸々の費用も当然かかってきます。これ以外にも、会社設立には資本金の準備が必要です。

資本金とは、会社が業務で使えるお金のこと。資本金が多い会社ほど体力がある会社と見られる傾向があります。
新会社法によって資本金が1円でも会社設立できるとされています。しかし資本金には信用という側面もあるので、1円を資本金に会社設立することは現実的ではありません。

資本金の額を決める際には、初期費用と数ヶ月の運転資金を計算して用意するのがベストです。これは会社設立当初から、安定した売上があるかわからないからです。
売上がなくても、最低3ヶ月は会社を維持できる額を準備しておくことが望ましいとされています。自分がしようとしている事業にはどんなものが必要か、月々必ずかかる費用にはどんなものがあるかを十分に考えて予想しておくことが肝心です。

しかしやみくもに資本金を多くするのもよくありません。資本金が1,000万円を超えると各種税金が高額になるデメリットがあります。
資本金1,000万円以下なら、1年間消費税の納付が免除されるので大きな節税となります。この辺りもよく考えて、資本金の額を決めましょう。

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自分で手続きする場合、会社設立費用を抑えるには?

自分で手続をして会社設立費用を抑えようと工夫しても、固定費が決まっているものがあるので節約できる部分は限られています。

固定費が決まっているものに印紙代や定款の認証手数料、定款の謄本手数料、登録免許税がありますが、印紙代は電子定款の場合は必要ありません。少しでも費用を抑えたい場合は、電子定款にすることをおすすめします。

・電子定款はどうやって作成する?

定款は認証を受けなければならないので、PDFファイル提出時には代表者が作ったものであることを証明しなければなりません。

そのため、電子証明書が利用できる状態のマイナンバーカードやICカードリーダーライターが必要です。作成した定款を電子化するソフトや電子証明書を利用するためのソフト、申請用ソフトのダウンロードもしておく必要があります。

しかし、会計ソフトの会社が提供している電子定款作成サービスを利用すれば、ICカードリーダーライターの準備やソフトのダウンロードをしなくても作成できる場合があります。このほかに、電子定款代行サービスを利用するという方法も。

これらの電子定款サービスを利用すれば、安価で簡単に電子定款を作成することが可能です。
電子定款サービスは、キャンペーンなどを利用すれば無料〜5,000円程度で電子定款を作成でき、紙の定款の場合に必要な印紙代と比べると大幅に費用を抑えることができます。

また会社設立が初めてで知識が少ない人も、これらの電子定款サービスを利用することで失敗せずスムーズに電子定款を作成できるというメリットもあります。費用を抑える以外に、時間も節約可能です。

・プラスのサービスで利用を考える

電子定款サービスをおこなっている会社の中には、電子定款にプラスしたサービスを提供しているところも多くあります。

例えば、会社の設立や運営に必要な印鑑のセットを販売してくれたり、会社設立後に必要なクラウド会計ソフトの優待案内をしてくれたり、定款の申請やその他会社設立に必要な申請を一貫しておこなってくれたりします。

これらプラスのサービスは、会社設立に必要な細々した手続きをスムーズにおこないたいときに非常に便利です。
多少のお金は必要ですが、会社設立が初めてで手続きに戸惑ってしまう人や、早く会社を設立したいと考えている人には心強いサービスでしょう。

会社を設立するにあたり費用の節約も大切ですが、時間の節約もとても大切な問題。面倒で時間がかかる作業は、このようなサービスを使ってうまく節約することを考えましょう。
時間が節約できればその分、会社の利益になることを考えることができます。そのサービスにかかる費用と効果をしっかり考えて、上手に活用してください。

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業者に依頼する場合、会社設立費用を抑えるには?

会社を設立するには、土地代や建物代、備品の購入などたくさんのお金が必要です。仕事に必要なこれらのものは削ることのできない部分なので、削れるところといえば会社設立費用ということになります。

資金に余裕があるという人でも、会社設立費用にお金をたくさんかけたいという人はまずいないでしょう。削れる部分は削って、浮いたお金を備品購入や経営に回した方が良いからです。

業者に会社設立の手続きを依頼すると、その分お金がかかってしまうと思う人も多いですが、じつは自分で手続をすべておこなうより安くお得にできる場合があります。

確かに個人で経営している司法書士や行政書士に依頼した場合は、何十万円という多くの費用が必要になります。しかしITを活用し会社設立だけを専門におこなう業者に頼めば、自分ですべての作業をおこなうより数万円も安く会社設立をすることが可能なのです。

自分で手続をおこなうより数万円安くなり、時間と労力も節約できる。会社設立までの期間が短く早いというメリットもあります。

これらの業者は行政書士や司法書士、税理士、会計士など専門家と提携している場合が多いです。そのため安心して会社設立を任せられるほか、会社設立後に利用できるサービスがあったり、わからないことを相談できたりします。

会社設立を専門にしている業者は、常に会社設立の手続きをおこなっているので会社設立のプロフェッショナルです。難しい書類も多いですが、慣れているので自分で手続を一からおこなうより断然スピーディーに作業してくれます。

業者によっては「2営業日で会社設立します」というところも。一日も早く会社を設立したいという人や、会社の設立日をこの日にしたいという希望日がある場合は、業者に頼んだほうが安心です。

自分で手続をするとなると書類に不備があると書き直ししなければなりませんし、書き方に悩むこともあります。そのため、早めに会社設立の手続きを開始していても予定通りにいかないことも多いです。

利用する前に、無料で相談に乗ってくれる業者もたくさんあります。業者に依頼するのが心配な場合や業者選びに迷ったら、まずは相談してみることをおすすめします。

会社設立を専門におこなっている業者は、たくさんあります。中には悪質な業者や、実績が少ない業者も。

せっかく業者に依頼しても時間がかかってしまったり、たくさんのお金がかかってしまったりしては元も子もありません。

業者選びの際に注意して見ておくポイントの一つに、電子定款に対応しているかということが挙げられます。

電子定款に対応していなかったり、電子定款の作成は別料金となっていたりする場合は料金が高くなる可能性があります。

二つ目のポイントは、税理士などの顧問契約はあるのかというところです。税理士の顧問契約サービスがあれば、会社設立後も安心です。

創業当初はわからないことが多くある、節税方法や試算表の見かた、帳簿のつけ方や業績の把握まで一貫して任せることができます。

顧問税理士をつけてしっかり管理することで、官公庁へ出す書類を忘れたり、税金を多く払いすぎたりという心配がなくなるほか、経営状態もしっかり管理できるというメリットも。

個人の税理士を顧問税理士につけると高い報酬を支払わなければなりませんが、会社設立業者が税理士と提携している場合、会社設立とセットで顧問契約すれば格安になるサービスも存在します。

これらのサービスを上手く活用して、会社設立後も安心して経営をスタートさせてください。

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まとめ

会社設立にかかる費用は、法定費用のほかにも事業や会社の規模によってさまざまなお金が必要になってきます。

会社の種類によっても法定費用は変わるので、どの会社でどの規模で設立するのかを十分に検討してください。

会社設立には、お金の問題も大切ですが一番は信用です。費用を抑えて信用を蔑ろにすることは避けるべきです。
とくに資金は、甘く考えてはいけません。会社設立後の経営にも大きく関わってきますので、自分で判断が難しいと感じた場合は、専門家に相談することも視野に入れましょう。



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