起業を成功へと導くために必要な4つのポイント
はじめに
近年、起業して成功した経営者がマスメディアで大きく取り上げられる機会も多くなってきました。そういったエピソードを耳にすると、「自分も起業して成功ができたら…」と思う人もいるのではないでしょうか。
しかしその一方で「でも失敗するリスクを考えると…」と不安に感じてしまうことは無理ないことだと思います。
今回は、どうすれば成功の可能性を高められるのか、どのようにして失敗のリスクを最小化するのかについて解説します。
▼目次
起業の成功率をあげ、失敗を回避するためには
世間一般からみたときに、起業はイチかバチかの賭けのように見られてしまいがちな部分があります。まったくもって見当違いとはいいませんが、そこには誤解も多くあります。
確かに、5年以内に8割以上の会社が倒産するといわれているため、いわば賭けのような的な要素が色濃く映ってしまう部分も否定はできません。しかし、起業は運に任せた賭けではなく、一定の定石があります。
成功にはさまざまなケースや要因があるので一概にこうしていれば必ず成功するとは言いづらいですが、逆に失敗にはいくつかのパターンがあります。このパターンをきちんと把握することで失敗リスクを最小化し、成功可能性を高めることができるはずです。
起業後に陥りがちな失敗例
では実際にどのようなパターンが失敗しやすいのでしょうか。いくつかのケースをみていきたいと思います。
1.自分の経験を活かせないジャンルで起業してしまう
1つ目のパターンは、起業する際のビジネスモデルや領域の選択にまつわる失敗です。起業し会社を経営していくためには、なによりも初期段階の売上獲得をどうするかという部分が重要です。
そのためには自分がこれまで経験してきた仕事と近く、初期段階の顧客や売上が見えている状態が好ましいといえるでしょう。
自分が経験してきた仕事であれば、起業前の顧客からの仕事を起業後も受注することができたり、人脈を活用することができたりするため、初期段階の顧客を獲得することも十分可能です。
しかしそれがまったく別ジャンルでの起業になってしまうと、イチから顧客獲得をおこなう必要があり、失敗のリスクはどうしても高くなってしまいます。
2.先行投資がかさみ、資金ショートしてしまう
2つ目の失敗パターンは、資金繰りを考慮しないでビジネスを始めてしまうことです。商品を作ったりサービスを提供したりするための機会や場所、あるいは人材が必要なビジネスは、どうしても先行投資額が大きくなるため、売上回収が早期に見込めない限りは、辞めておいた方がよいといえるでしょう。
失敗のリスクを最小化するためには、先行投資が必要ない、スモールビジネスからスタートすることが重要だといえます。
3.貸し倒れリスクを考慮していない
2つ目と同様に、資金繰りによる失敗のパターンです。
商品やサービスもうまく立ち上がり、売上も立つ目途がついていたとしても、貸し倒れリスクを考慮せずに取引をしてしまうと、大きな失敗につながってしまう可能性があります。
貸し倒れリスクとは、商品やサービスを提供して売上を計上してもその対価が入金されないリスクです。
大型の取引であればあるほど貸し倒れのリスクは大きくなるので、会社設立の初期は特に気を付ける必要があります。そのため一定の割合で貸し倒れが発生することを見越した上で、商品・サービスを組み立てる、もしくは大型取引の場合は着手金として先に料金の一部を回収するなど、会社が存続できるような仕組み作りを考慮しなければなりません。
4.友達同士で起業して失敗するケース
商品作り、顧客獲得・顧客対応、資金繰り…起業は何もかもをイチから生み出していかなければなりません。
そのため、起業当初の仲間集めはとても重要で、複数名のチームを作ることができれば、各々の得意分野に応じて役割分担しながら進めることができます。何よりも精神的な安定を確保するために、仲間がいることはとても大きなメリットがあります。
ただし、出資比率や代表権、収益分配や役割分担などの部分をあいまいにしてしまうと、事業がうまくいってもいかなくてもトラブルになり、せっかく築いた人間関係が台無しになってしまう、といったケースももしかしたらでてきてしまうかもしれません。
たとえば株式会社にするのか合同会社にするのかなどについても、メリット・デメリットをよく精査した上で決めるようにするのが肝要といえます。
起業後の成功率を上げるための4つのポイント
ここまで、起業時に陥りがちな失敗パターンについてみてきました。逆にこれを裏返して考えると、起業時の失敗を防ぎ、成功率を上げるためのポイントが見えてきます。
1.自分の経験を活かせるジャンルで起業する
起業の初期段階における売上獲得のためには、やはり自分が経験してきたジャンルでの起業がおすすめだといえます。特にBtoBビジネスの場合であれば、会社員時代の顧客から発注を受けたり、人脈を使って新規のクライアントを獲得したりすることも可能です。
ただし、起業直前の会社からクライアントを奪ってしまうことはトラブルになりやすかったりするので、元の会社の就業規則などを事前にきちんと確認し、禁止事項に抵触しないよう注意しましょう。
そこの部分の確認を怠ったがゆえに初期段階の売上を期待していたにもかかわらず、実はそれが禁止事項にあたっていて取引ができなかった…という失敗もでてきてしまうかもしれません。
2.先行投資の少ないビジネスで勝負する
どういうビジネスモデルで起業するかを考える際に、先行投資の有無は非常に重要です。飲食店などのように店舗・人員が先行して発生するビジネスはやはりリスクが高いといわざるを得ません。
対して営業・販売代理業やコンサルティング業のように、初期段階では自分の稼働だけで済むようなビジネスモデルの方が、失敗リスクを最小化することができます。
なのでまずは先行投資の少ないビジネスモデルで安定的な売上獲得を実現し、徐々に先行投資型のビジネスにチャレンジしてくほうがよいかもしれません。
ただしひとつ注意したいのが、こうした先行投資の少ないビジネスの中に人材紹介業や人材派遣業がありますが、許認可事業であるがゆえに免許取得に一定の時間がかかります。こうしたジャンルを考えているという方は、事前に申請・取得にかかる時間をきちんと把握してから取り組むようにしましょう。
3.貸し倒れリスクを考慮した事業計画を作る
先にもあげましたが貸し倒れについても当然、きちんと考慮しておくべきといえます。
たとえ先行投資の少ないコンサルティング契約などであっても、対価の支払いタイミングがプロジェクト完了時になってしまうと、入金されるまでの間資金繰りに困ることになります。
また、月払いで契約できたとしても、1つの案件に取り組んでいる期間は他の営業活動がストップすることも考えられますので、契約期間を長期化したり着手金を先にもらうようにしたり、資金繰りがうまく進むようにコントロールすることが必要です。
4.友達感覚ではなく、きちんとした組織を作る
心許せる友人との起業が必ずしも失敗するというわけではありませんが、友人だからこそ後で揉めないように出資比率や収益分配方法、役割分担についてきちんと議論して、双方が納得する形で決めておくべきでしょう。
また、全員が営業に強みを持つメンバーだと他の分野に対して不安を覚えるチームになってしまう可能性もあるので、営業に強いメンバー、経理に強いメンバーなど異なる強みを持つメンバーが集まって組織を作っていくことが大切になってきます。
加えて会社運営においては常に、さまざまな問題が発生しますので、厳しいことも含めて本音で話し合うことができる仲間だけにするとよいでしょう。
失敗などのリスクに負けないために
成功した経営者の自伝などを読むとさまざまな成功パターンがあり、起業に正解はなく運やギャンブル的な要素が強いように感じられるかもしれません。
たしかに世の中には実にさまざまな経営者がいて、どのタイプが正解かを考えることは容易ではありません。
しかし一方で失敗のパターンに目を向けると、いくつか共通するパターンが見えてくるはずです。まずは失敗のパターンから学び、それを1つずつ潰していくことで、失敗リスクを最小化し成功率を上げることができます。
ここに挙げたような事例を参考に、自分なりの成功シナリオを構築し、起業を成功に導いてください。