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設立時に必要な会社のルール。「定款」のつくり方と申請の仕方を紹介

はじめに

会社を設立する際に、最初におこなわなければならないことが「定款(ていかん)」の作成です。その中身に記載するべき内容は、法律で定められています。また、定款はただつくるだけでは効力を持ちません。必ず公証役場で「公証人の認証」を受ける必要があります。今回は、そんな会社設立に欠かせない定款に関する作成・申請の流れを簡単にご紹介します。

▼目次

会社設立時に必要な「定款」とは?

「定款」とは、会社の目的や活動、また組織・運営の基本的なルールなどを記載した資料のことで、いわば「会社の憲法」のようなものです。定款を見れば、「誰がどんな会社をつくったのか」、「この会社がどのように運営されているのか」ということがすぐに分かるようになっています。

定款を作成するのは、会社の「発起人」です。発起人とは「会社をつくろう」と言い出した人のことを差し、1人でも複数名でも構いません。会社設立時には、発起人全員が作成した定款に署名(または記名)と押印をする必要があります。また、定款に記載された内容は、社長も役員も株主も、全員が守らなければなりません。

作成した定款は、本店所在地を置く都道府県内の公証役場に持って行き、認証手続きをおこないます。そこで公証人の認証を受けると、定款の末尾に定款作成行為が正しくおこなわれたことを示す証明文を添付され、そこで定款の認証は完了となります。ちなみに公証人とは、国の公証事務をおこなう法務大臣によって任命された公務員のことです。

・定款提出の流れ

まず、定款を発起人全員で作成します。次に、作成した定款に、発起人全員が署名(または記名)と押印をします。(署名とは本人が自筆で氏名を手書きすることで、記名とはパソコンでの入力やゴム印の押印など署名以外の方法で氏名を記載することです。)
それが済んだら、発起人全員の印鑑証明書を準備しましょう。発起人が法人の場合、法人の登記事項証明書と印鑑証明書もあわせて必要となります。
必要なものが揃ったら、いよいよ公証人役場にて定款の認証を受けます。公証人は出張などで不在の場合も多いため、事前に訪問予約を入れておくと安心でしょう。

定款認証が完了したら、定款の謄本を登記申請書に添付書類として綴じます。

・定款をつくる前の確認事項

定款をつくるにあたって、事前に調べておきたいことがいくつかあります。

まずは、商号(社名)に関する情報です。商号については法律で、「不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある商号を使用してはならない」と決められています。そのため、他の会社と勘違いされやすい社名や、CMや広告などでよく目にする有名企業と同じ社名は使うことはできません。場合によっては、後で差し止め請求を受ける可能性もありますので、必ず避けるようにしましょう。
また、検討している商号が商標登録されていないかどうかもきちんと確認しておくことも必要です。他社のブランド名などと社名がかぶってしまった場合、商標権の侵害になってしまうからです。
ただし、他社とまったく同じ商号を用いることは100%不可能、というわけではありません。実際、「まったく違う会社なのに、社名は同じ」というケースもあります。法務局で「商号調査簿」を閲覧し、同じ住所に同一の商号を持つ会社が存在しなければ、他社と社名がかぶっても問題がない場合もあります。

また、事業規模によって定款作成のルールが異なるため、その点も注意が必要です。たとえば、ある程度規模の大きな株式会社は取締役会を設置しますが、組織を複雑にする必要のない事業規模の小さな会社は機関を株主総会と取締役のみにすることもできます。また、同じ株式会社でも、「公開会社」か「非公開会社」かによっても定款の中身は大きく変わってきます。自社の状況を鑑みて、適切な定款を作成するようにしましょう。

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定款のつくり方

次に、定款の作成方法について、具体的に説明していきます。定款の作成にはさまざまなルールがありますので、きちんと確認してから進めるようにしましょう。

1.申請書様式を用意する

定款には、一般的な書き方のルールがあります。まず定款のタイトルと日付を入れ、そこから第1条の「商号」、第2条の「目的」、第3条の「本店の所在地」…と続いていくのが、一般的なフォーマットです。最近はインターネット上で定款のフォーマットを無料で公開している司法事務所などのサイトが多数ありますので、ぜひ検索して参考にしてみてください。また、法務局のサイトからも各種申請書様式をダウンロードすることができます。

ちなみに、パソコンで作成する場合、文字の大きさや書体などの指定はありません。一般的には明朝体かゴシック体で、大きさは11〜12ポイントにすると見やすいでしょう。また、出力する用紙のサイズにも特に決まりはありませんが、役所の書類はA4が主流になってきているため、A4かA3で作成することをおすすめします。

2.定款に記載する内容

定款の内容は、大きく「絶対的記載事項」、「相対的記載事項」、「任意的記載事項」の3つに分類されます。

■絶対的記載事項

「絶対的記載事項」は、定款に必ず記載しなければならない事項です。会社法の規定により、以下の6項目の記載がなければ定款自体が無効となってしまいますので、作成の際には注意をしてください。

【1】商号
【2】目的
【3】本店の所在地
【4】設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
【5】発起人の氏名又は名称と住所
【6】発行可能株式総数

■相対的記載事項

「相対的記載事項」は、なくても定款自体の効力に影響はないものの、定款に記載しないと定めの効力が生じない事項のことです。たとえば、以下のようなものが挙げられます。

【1】現物出資(金銭以外の財産の出資)
【2】発起人が受ける報酬、その他の特別な利益の内容
【3】株式譲渡制限に関する規定 など

■任意的記載事項

「任意的記載事項」は、会社が法律の範囲内で任意に決めた内容を記載できる事項です。会社の社訓などを任意的記載事項として定款に記載しておくこともできます。ただし、会社設立後に定款の内容を変更するには株主総会の決議が必要となってしまうので、定款に記載する内容には注意が必要です。

3.定款目的の記載例

定款には、その会社がおこなう事業を「目的」として必ず記載しなければなりません(絶対的記載事項)。複数の事業を展開する場合は、各項目の頭に1、2、 3と数字をつけて記載しましょう。そして、最後には「上記各号に附帯関連する一切の業務」とつけておくと、より包括的な範囲を指定することができるので、必ず記載することをおすすめします。

【例】※取締役が1人の株式会社の場合
(目的)
第2条 当会社は,次の事業を営むことを目的とする。
1. コンピュータ及び周辺機器の販売
2. コンピュータソフトの開発及び販売
3. 商品カタログ及びパンフレットの企画及び制作
4. 上記各号に附帯関連する一切の業務

4.定款を申請・提出する

定款は、原則として発起人全員で公証人役場へと提出しに行きます。定款への署名または記名押印がすべて発起人のものであることを公証人の前で認め、定款の作成行為が正しく成立したことを証明してもらう必要があるためです。発起人の中に行けない人がいる場合は、別途委任状が必要となりますので、用意しておきましょう。

定款認証には、少なくとも以下の書類が必要です。

■定款(3通)※原本、正本、謄本
■発起人の印鑑証明書(各1通)
■発起人の実印
■収入印紙(4万円)
■公証人の定款認証手数料(現金で5万円)

ちなみに、近年はIT化が進み、定款を電子文書で作成・提出する「電子定款」で認証を受けることもできるようになりました。電子定款の場合、印紙税の4万円分を節約することが可能です。ただし、指定された公証人しか取り扱うことができないため、電子定款の取り扱いがあるかを事前に役場に確認しておく必要があります。また、ソフトの購入費用などが別途かかってくるため、一概に電子定款のほうがよいとはいえません。

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不安な場合は代行サービスを利用しよう

ここまで簡単に定款のつくり方について説明をしてきましたが、中には「自分たちだけでできるか不安」という方や、「スピーディーに会社設立を進めたい」と思う方もいるかもしれません。実際、定款の作成には時間がかかりますし、慣れていない人がつくるとあちこちに不備が出る可能性もあります。

そこでおすすめなのが、代行サービスを利用することです。プロに頼めば、不備なく迅速に定款の作成を請け負ってくれます。費用はかかりますが、わずらわしい諸々の書類作成業務から解放され、より会社の経営戦略や事業戦略を練ることに集中できるかもしれません。
もちろん、「せっかくだから全部自分たちでやりたい」という方はそれでも問題ありません。自身の納得できる方法で、会社設立に向けて準備を進めていくべきでしょう。

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